作文とは論理力を養うトレーニングである

この春、私立麻布中学の入学試験で出た理科の問題が注目を浴びました。「ドラえもんが生物として認められない理由を説明せよ」というものです。出題では、生物の重要な特徴として「自分と外界とを区別する境目をもつ」、「自身が成長したり、子をつくったりする」、「エネルギーをたくわえたり、使ったりするしくみをもっている」の三点を予め提示した上で回答させるようになっています。

たいへん話題になり、同校のホームページでは25万件を超えるアクセスがあったそうです。これは正に暗記力だけではなく、理論的に考え、それを誰にでも納得のいく説明で表現させる・・いわゆる「考える問題」の典型的な例といえるでしょう。麻布中学によると、このような暗記内容を問うのではなく、考えさせる出題は毎年出しているとのことです。

都立高校でも、この春からコミュニケーション能力や意欲をみる目的で、全170校の推薦入試において集団討論を始めました。

これまで文塾が目指してきたNIE教育(Newspaper in Education=教育に新聞を)も、4月から全国で小中学校に加え、高校でも学習指導要領に加えられ、実践されるようになりました。

また、猪瀬東京都知事は、ビブリオバトル(読書感想文コンクール)を私立も含め、都内の全高校で実施するよう計画を進めています。

いずれも記憶本位の筆記試験だけでは、時代の流れに対応できないとの社会的な要請に応えた動きではないでしょうか。センター試験も廃止の予定ですし、これまでの暗記ロボット量産型教育は終わりを告げようとしているかのようです。

さて、東京新聞(3月25日)に、来春の企業の新卒者採用計画について、主要企業108社へのアンケート結果が掲載されました。

このところのアベノミクス効果により輸出関連を中心に、各社の業績見通しは改善傾向にあります。そしてここで注目されるのは、新卒者の選考で最も重要視される項目です。以下、挙げますと

1コミュニケーション能力、2行動力、3人柄、4責任感、5熱意・・となっています。学業成績は9位です。

以上が、現在の日本を代表する大手108社が考えている新入社員の採用基準です。

日本ではコミュニケーション能力に問題がある若者が、如何に多いことか、ということの裏返しといえるかもしれません。

私のうがち過ぎな見方でしょうか。学校や塾では、子どものコミュニケーション能力の面倒まではなかなか見てくれません。

これは、私がかつて就職試験を受けた30年前頃とは驚く程の変わりようです。あの当時は、上司や先輩に言われたことを黙ってまじめにやっていれば、それなりに安定した生活が望めました。そんな時代でした。

ここでいうコミュニケーション能力とは、言うまでもなく、「阿吽の呼吸で相手の気持ちを慮る能力」ではありません。「その場の空気を読む能力」でもありません。

どんな人にでも理解できるように理論的に考え、うまくそれを表現する能力(=作文や論文を作成する能力)のことです。

これはまた、職場でグローバル化に対応可能な人材が不可欠になってきていることの証でもあります。(英会話能力ではありません。母語で説明できない事項は外国語でも説明できません)

同アンケートでは、「本社採用の外国人正社員をさらに増やす予定」と回答した企業が実に18%に上ります。

作文を書く能力が、今後社会の実践で、如何に重要になると皆が考えているか・・もうおわかりでしょう。

塾長 の紹介

1957年東京生まれ。1981年早稲田大学第二文学部卒業。 医学雑誌編集記者、技術系出版社を経て、1991年より学習塾「自由学舎」(東京都目黒区)の専任講師。2008年新聞記事を題材に作文をする塾「文塾」を立川市に開設。 小・中・高校・大学受験の指導だけでなく、不登校児の学習支援や野外活動指導員としての実績を持つ。
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