社会は、実は繋がっている

映画にもなった「武士の家計簿」の著者で、歴史学者の磯田道史氏のインタビューが東京新聞(10月7日「あの人に迫る」)に掲載されました。「武士の家計簿」とは、窮乏状態の加賀藩の猪山家が、倹約に倹約を重ねて最後に豊かになるというストーリーです。

ところがこの記事で磯田氏は「よくなったのは猪山家の家計だけで、武士が皆よくなるためには明治維新を待たねばならなかった」と述べています。
そして、「日本人は家族単位で利益を考え行動する。それを突き抜けて社会を考えるのが苦手です。結局(大事なのは自分の)家族が食べていけるか、なんですね」とまとめています。

わたしたち日本人のこの傾向は、現在も変わることなく続いているのではないでしょうか。
確かに、「遠くにある原発は事故が起きてもかまわない。我が家の電気さえあれば、それで問題ない」という考え方と、余り変わらないようにも思えてきます。
磯田氏の云う通り、「今の自分と家族さえ幸福ならば、それで全てOK」と、自分の家族や身の回りを超えた社会には殆ど興味を持たない。どうしてもこうなりがちなのが、江戸時代以来の日本人の傾向かもしれません。
しかし、よく考えてみれば、社会と無関係に生活している家族など、アマゾン河の奥地に行ってももはや存在しないでしょう。

日々、TVニュースや新聞で取りあげられる社会の問題は、私たちの生活と全く無関係ではないはずです。

例えば、世界経済の状況と円高は無縁ではありませんし、円高と会社の利益も無縁ではありません。その為にお父さんの職場が海外移転になったり、工場が閉鎖されてリストラになったりすることとは、お互いに無関係に起きていることではないのです。
お父さんが失職したら家族は大変です。
「社会は繋がっている」という、この当たり前に思えることに、余りに無関心なまま生活している(自分と社会とは無関係のように考えているように見える)現在の中・高校生たち。彼らの現状に危機感を覚えて、2009年、私は文塾を立ち上げました。

しかし、彼らのお父さんやお母さんたちの関心は、まだまだ高くはないようです。

塾長 の紹介

1957年東京生まれ。1981年早稲田大学第二文学部卒業。 医学雑誌編集記者、技術系出版社を経て、1991年より学習塾「自由学舎」(東京都目黒区)の専任講師。2008年新聞記事を題材に作文をする塾「文塾」を立川市に開設。 小・中・高校・大学受験の指導だけでなく、不登校児の学習支援や野外活動指導員としての実績を持つ。
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