東京工業大学では去年より(学士から博士課程の9年間にわたり)リベラルアーツ教育を開始している。講師陣はジャーナリストの池上彰氏、小説家の磯崎憲一郎氏の他、主に人文社会学系の文化人たちだ。
以下はこのプロジェクトの中心として指揮をとる上田紀行先生の説明。
「100人のクラスで課題を出す。すると、必ず1人は「この課題の評価軸はなんですか?」と聞いてくる。伝えると、みんなその評価基準に最適化された、殆ど同じレポートを出してくる。
決められたシステムの中で出された問いに対して、効率的に最適解を出す能力のある東工大生。
しかしその思考からは、既存のものを壊して新しいものを生み出していくイノベーションは生まれない。それどころか、評価軸を与えさえすれば疑わずに最適解を出せる人間は、権力者にとって支配することも簡単だ」
確かに東工大生たちは統治者のロボットとしては有能かもしれない。しかしこれは社会の中でのポジション取りに秀でた能力にしかすぎず、既存体制の枠の中だけでしか役立たない人材ということだ。これでは社会変革に関わる人材は、決して生まれようがない。
このような危機感をもとに、上田先生はリベラルアーツ教育のプロジェクトを開始したという。
日本社会の停滞20年余り。「日本は生まれ変わらなければならない・・」
何度も聞かされたセリフのようだが、世の中全く変わらないのも、こんな教育が依然として日本のトップクラスの教育の主流なんだから仕方がない。
まさに遅きに失するとはこのことだが、東工大だけでも狭量な専門家教育に幕を降ろして、良き人材育成に貢献して欲しい。
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